背中で語る(職員のつぶやき)
「家に私帰りたいの・・」
事務所に来られた入居者I様の第一声だった
「帰りたいと思っているんですね」と私が話しかけてると
「そう、帰ろうと思ってるの、家に誰もいないから掃除しなきゃ」と心配そうなI様
「家の掃除をしないといけないと思っているんですね」とさらに語りかけると、
「そうなのよ、心配でね~」と話される。
そんな会話が5分ほど続いていた。
事務所ではよくある光景である。
会話がすすむにつれ、少しづつ笑顔がみられるようになっていた。
そんなタイミングを、知ってか知らずか、隣部屋のN様が事務所へ登場
「この人が帰るっていうの、寂しくなるから引き止めてね」と話され、また部屋に帰って行かれた。
自分を必要とし、引き止めようとするN様の言葉を聞き、少し照れくさそうに微笑まれているI様。
「Iさん。引き止めろと言われましたが、私はどうしたらいいでしょう?」と問いかけてみると
また、照れくさそうな笑みを浮かべ、沈黙・・・・
しばらくして、「先生ごめん。私もうしばらくここにいるから、さっきのことは忘れて」
そう話され、そそくさと部屋に帰っていかれるI様
私はその背中を見送った。
後ろ姿なので表情はみえない。
でも、きっと笑顔だったんだろう。
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